2016年08月10日
MARUTO フライフック

株式会社 土肥富のMARUTOシリーズのフライフック No.1930BL O'shaughnessy Hook。
フライフックと言えばティムコのTMCフライフックがフライフィッシング界の押しも押されもせぬグローバルスタンダード、他にはガマカツやバリバスがどうやら勃興しつつある、というのが中途半端なフライマンに過ぎないワタシの認識でした。
このフックを知ったきっかけはつい先日、久し振りに覗いたヤフオクでした。海フライってエポキシでコーティングしたりでちょっとタイイングが面倒だなあ、マテリアルもあんまし持ってないし、お試しに、見本に、完成品フライ買おうかなあ、と見てたらある完成品フライの商品説明に目が止まりました。「国産フライフック MARUTO使用」と表記されていました。そんなフライフック、聞いたこともないので、「MARUTO」で検索してみたのです。
ヒットしたページを開けると、なんともレトロというか、素人が作成したに違いないってカンジのインターネット通販HP。零細企業なんでしょうか。株式会社 土肥富なんて聞いたこともないし。
フライフックのページを開くと、あります、あります。一杯、種類があります。TMCフライフックにも負けないレパートリー。型番が羅列してあるだけで用途がさっばり分からない、ユーザーフレンドリーとはとても言い難いページ。逆に好感を抱きました。「ああ、零細企業の悲しさ。デジタルメディアまではヒトもカネも割ける余裕がないんだろうなあ」と。
目的の海フライ用のフックのページを見つけて度肝を抜かれました。販売価格がイカれてます。海フライフックの標準的な形状の、SS-1930 O'shaughnessy Hook。ステンレス製。サイズはワタシがよく使う#6を見てみると…。
販売価格は税込1,188円。
数量は100。
在庫数量じゃないですよね?内容数量ですよね?1本11円ちょいってこと!?
ティムコの2016フライフィッシングカタログを引っ張り出してきてベーシックな海フライフックのTMC811Sの#6フックの100本入の価格を見ると…税込5,389円。10本入が680円。
MARUTO安すぎる…。
買おう。品質は買ってみないと分からんが騙されてもいいから買ってみよう。工場も日本にしかないみたいだし、国産なのは間違いない。
そう思いつつ、更に他のフックを品定めしていると、冒頭のフック発見。スチール製だから海にはどうかと思うけど、バーブレス。#6と#8のサイズしかないけどワタシ的にはドンズバな丁度いいサイズ。価格は…100本入でなんと税込648円。この2つにしよう、と発注。
送料が360円。銀行振込手数料が270円。全部で1,926円。200本でこの値段は安過ぎる…。
注文から中2日で届きました。
写真の通り、パッケージはチープですが、丁寧に厳重に包装されていました。
肝心のフックはちょっと太いなあ、ってカンジです。フック先端は全く問題ない鋭さ。シャープです。
とりあえずこれで海フライを巻いて、錆びが酷いようならステンレスフックを買うことにします。
いい買い物でした。
株式会社 土肥富、MARUTOの通販ページはコチラ。
http://www.fishhook.co.jp/index.html
2016年03月06日
初めての海フライdeシーバス

当時、ワタシが居住していた神戸のポートアイランドは当初の面積を拡張して埋め立てをし、それまでの倍の面積になっていました。
拡張した南エリア(通称:二期工事エリア)は道路だけが敷設されてほぼ空地の状態。
1994年に開港した、関西国際空港へのシャトルバスの船着場、確か名前は、神戸シティエアターミナル、略称K-CATのみがポートアイランド南エリアに開業していました。今は神戸空港近くに移転してます。
ターミナルと船の桟橋からは煌々と灯りが照らされて、ソルトルアーマンにとって絶好のポイントが形成されていました。
周囲は空地ばかり、拡張された南エリアに立ち入りが可能かどうかは地元以外の人間には判断がつかないような状況でしたから、竿抜けポイント、穴場でした。
ワタシは当然、そこに早々と目を付けて釣行しましたが、そこは素晴らしいシーバスポイントでした。
水面が強烈に照らされていましたので、時によってはシーバスの姿が丸見え。どんなルアーを投げても釣れる、という日もありました。
言わば、ワタシ専用のシークレットポイントでした。様々なタイプのルアーの実戦投入をそこで行ったのが良い思い出です。そこで他のルアーマンを見かけることもありませんでした。
ソルトウォーターフライフィッシングのタックル、以下、面倒なので海フライのタックルを買い揃えてしばらくしたある日。
例の爆釣シークレットポイントでフライでシーバスを釣ったらええねん、と考えたワタシ。
数少ないながらもそのポイントにいる、エサ釣りのおっちゃん達の迷惑にならないように、夜中の2時にクルマでそこに向かいました。
到着すると、パトカーが5台程。警官がチラホラ。
どしたん、事故?事件?
邪魔にならないよう、パトカーから少し離れた場所の路側帯にワタシは駐車しました。
車内でタバコを1本。
さあ、海フライで初シーバスだ!
と、思いきや窓をコンコン。
警官が覗き込んでいました。
あ、検問?
飲酒チェック?
別に犯罪を犯したわけでもなく、お酒は全くダメなワタシ。
やましい事は何もありません。
半ば意気揚々と窓を開けました。
クルマで検問を受けるのは初めてでしたから、むしろ興味津々。
「夜分遅くにお疲れ様です〜♪どうされました?」
「失礼。免許証を拝見します」
随分と無愛想です。
ていうか威丈高な態度。
眠たいの?
2時過ぎだもんね。
大変だね〜。
「あ、はい。どうぞ〜」
「はい、結構です。ちょっと車から降りて後ろのトランク開けてください」
検問てトランクまで開けるんだ〜。
ひょっとして覚醒剤の取り締まりかな。
関空近いもんね。
ドキドキ♪
ピリピリしてるなあ、何かあったん?
密輸とかかな?
ワクワク♪
下車してトランクを開けました。
大枚はたいて購入したsageのフライロッドのアルミチューブが1本。
同じく大枚はたいて購入したハーディーのフライリール。
苦心して巻いた海フライ収納ケース。
海フライタックル一式です。
中を見た警官の表情が一変。
やおら無線機を手に取り口に当てました。
「こちら、○○。現在、不審車両を職質中。不審物を発見。至急、応援願います」
え。ちょ。
不審車両てナニ。
不審物てナニ。
ワタシ?
ワラワラと警官が3人ほど来ました。
カンのいいワタシは直ぐに気付きました。
アルミチューブを過激派の迫撃砲か何かと勘違いしてるのだ、と。
ワタシをテロリストか何かと勘違いしてるのだ、と。
「あ、あの。コレ、竿のケースです。不審物じゃありません」
「なんで竿のケースがこんな形してるねん。ケースちゃうやろ。コレ何やねん」
いきなり尋問口調。
気分を著しく害したワタシ。
「随分と失敬な態度に豹変するじゃね〜か、ヲイ。何様のつもりだ、コラ。公僕の分際で納税者様にどういう態度取ってんだオメーは、あ?(タバコ税と消費税しか納めてないけど)」
と、言いたいのをグッと押さえ、冷静沈着、眉目秀麗、頭脳明晰なワタシは答えました。
「ホントに竿のケースですよ〜。これ8万位する竿でね(ウソです。海外通販で購入したのでホントはその半分位)。高級ロッドだとこんな豪勢なケースに竿が入ってるんですよ。ホラホラ」
アルミチューブケースの蓋をカラカラと開けて中のフライロッドを警官の皆様にご覧に入れました。
険しい警官の表情が一瞬緩んだと思いきや更に険しくなりました。
「兄チャン、明日、大阪で何があるか位知っとるやろ。ややこしいことするなや!ホンマ勘弁してくれ!こっちはピリピリしとるねん!」
あ。
そうだった。
あ〜、ハイハイ。
あれね。
そうだったわ。
カンのいいワタシは瞬時に察しました。
記録によると1995年の11月16日。
APEC大阪会議開催。
その日は開催前夜。
関西地方、特に警察関係者の方々は開催前から厳戒態勢を布いていたのです。
事情を察したワタシは言いました。
「ああ、APEC会議ですか。クリントンさん、明日に大阪入りでしたっけ。でもボク、釣りに来ただけなんです。怪しいモノじゃありません。ここ、スゴく良く釣れるんですよ〜」
警官は更にヒートアップ。
「なんでこんな時間にわざわざこんなトコで釣りするねん!おかしいやろ!」
「フライフィッシングって言うんですけど〜。このね、フライラインをね、20m位の長さを前後にビュンビュン振り回すからね、周りの人に危ないですやん?だから人のいないこの時間に来たんですよ〜。そんなに簡単に釣れる釣りじゃないからね〜、ここやったら絶対に釣れるわて思ってね〜」
フライラインをリールから引き出して見せながら、懇切丁寧に説明しました。
「もうそんなんどうでもええから帰って〜や」
「え、立入禁止ですか?釣り禁止ですか?」
「禁止ちゃうけどこんなトコで釣りされたら巡回せなアカンやないか。何時までやるつもりなん?」
「え、気が済むまでやりますけど」
「程々にしてはよ帰ってや!」
そう吐き捨てて警官達は散開してそれぞれの持ち場に戻って行きました。
勿論、程々にしてはよ帰るつもりなど更々ないワタシ。ほぼ確実に、フライでシーバスを釣ることが出来るであろう、貴重なポイント。日を改める、などという考えは微塵も湧きません。有り得ません。不可能。見果てぬ夢。The Impossible Dream.
目論見通り、シーバスをキャッチ。素晴らしい、フライde初シーバス、でした。初めての海フライでいきなり10匹以上もシーバスをキャッチしたのですから。
朝8時位まで延々と、充分に満足するまで海フライdeシーバスを堪能して納竿、帰宅しました。
え?ワザと朝まで釣りを続けたんじゃないかって?
ええ、勿論、無礼千万な警官達への嫌がらせ、意趣返しのつもりで居座ったんですよ。
2016年02月10日
クレイジーチャーリー

クレイジーチャーリー。
レフティーズデシーバー、クラウザーディープミノーと並ぶソルトフライ、海フライ界の大御所(独断と偏見)。
元はボーンフィッシュ(※)用に考案されたらしいですが、フックサイズ変えれば多分なんでも釣らせてくれる出来のイイ子。もちろん、バスとかギルも。一応、エビを模しているらしいですが、色を変えればカニとかイカにも見えなくもないかな、と。
私もこの子には大分、お世話になりました。初めてフライでシーバス釣ったのもこの子。初めてフライでチヌを釣ったのもこの子。今年、海フライを再開するつもりですが、この子に期待する所、大。
余談ですが、自分で巻いたフライをブログ上とはいえ、人様にお見せするのって妙に気恥ずかしいですね…。公衆の面前で裸を見られてる気分。
ワタシは最近フライでは管理釣場ばかりなのですが、フライボックスを決して開けたままにしません。見られるの恥ずかしいから。でも他人のフライボックスはコッソリと盗み見ますw気になるからw
ところがフライボックス開けっ放しの人のって必ず美しく巻かれたフライが整然と並んでいてワタシを打ちのめすんです。フライボックス開けっ放し攻撃、勘弁して下さい…。
※
海フライ界における至高のターゲットの一つ。
美しいといえば美しいのですが、いかんせん、どう見てもキレイなボラないしマルタウグイと思しき外見。そんなコメントを見たことも聞いたこともないんですが、それは言わない約束なんでしょうか。
2016年02月09日
TNポッパー

故テツ西山(西山徹)氏の考案フライパターン、TNポッパー。
出会いは「ザ・フィッシング」と言うテレビの釣り番組。西表島でフライフィッシングでクロダイもとい、チヌ(確かに黒い鯛ですがチヌと言いたい)を釣る内容で、番組中、テツ西山氏が使っていました。あの、素晴らしくカッコいい、いぶし銀のチヌがフライで、しかもトップで釣れる、という内容に衝撃の思いを抱きました。ナンヨウチヌとかいうチヌの亜種でトップでも釣れる獰猛な性質を持つそうで、本州のチヌないしキビレでも釣れるのではないか、と期待しました。当時はチヌをルアーで釣るメソッドは確立しておらず、釣れても偶発的なものでしたから。
フライでバスを釣ることにも興味があったワタシは早速フライショップに赴き、4個、購入しました。
さあ、初めてのフライによるトップウォーターです。張り切ってリザーバーに釣行しました。
いかにも釣れそうな、流木や中洲のあるポイント。キャストに自信のないワタシは#8のフライタックルでチャレンジ。
周りはルアーマンがちらほら。
ウェーダー、フローティングタックルベストを着用しつつ、フライロッドを手にしている酔狂な釣り人なぞワタシだけです。ルアーマンが何か汚物を見るかのような目でワタシを見ます。ルアーマンにもワタシが正統派フライフィッシャーマンの道を踏み外した落伍者、異端者であることが分かるのでしょう。それともルアーとフライ、どっちつかずのワタシをコウモリが来た、と断罪していたのでしょうか。
嵩張り、重たいTNポッパーのキャストに手こずりつつ、次第に要領を掴んでキャスト距離がマトモになりました。
ぎこちないダブルホールキャストがビシッと決まり、TNポッパーが沖の流木の際ギリギリにフワリとキレイにターンオーバーして着水しました。
チャンス。
セオリー通りに波紋が完全に消えるまでジリジリしながら待ちます。
鋭く、短く、1回だけリトリーブ。
出ません。
波紋が完全に消えてから今度は2回。
バシャ!
いきなり水柱が立ちTNポッパーが消えました。
ほぼ同時にロッドに強い衝撃。
キーター!!
フライラインを手繰り寄せれば済む程度の引きであるのにも関わらず、折角大枚はたいて購入したディスクブレーキ搭載のフライリールです。楽しまなければ損です。無用に時間をかけて充分に引きを楽しんでリールを使って引き寄せたバスは30cm強。これ見よがしにバスを取り込みつつ、周囲を窺うとルアーマン達がこちらを見てます。ルアーでバスを狙っているアベック(カップル)の女性がカレシと思われる男性に声をかけたのが聞こえました。
「なあ、あの人、バス釣れてる!」
なんという喜び。なんという快感。ああ、気持ちイイ。この上ない法悦。
「そこのカノジヨ、そんな不甲斐ないカレシからボクに乗り換えませんか?」(妄想)
釣れたことの喜びか、品性下劣なワタシの虚栄心が満たされたことから来る快感か。
当の本人のワタシにも分かりません。
下衆な内心を押し殺しつつキャストを再開。
爆釣劇が開幕しました。
ほぼワンキャストワンフィッシュ状態が30分。
ルアーマン達は誰も釣れていません。
先程、汚物を見るかのようにワタシを一瞥していた周囲のルアーマン達の羨望の眼差しが、否、妬み嫉み僻みの凶暴な視線がワタシにザクザクと突き刺さります。
なんという喜び。なんというかいかn(以下略)
極め付けは25cmはあろうかという、巨大グレならぬ巨大ギル。素晴らしい引きでした。
色々と何かを満たされたワタシは後日TNポッパーを大量購入しました。写真のTNポッパーは僅かに手元に残るモノ。テツ西山氏亡き今、廃盤になってしまった現在、入手出来ません。今はフライボックスで深い眠りについています。ティムコさん、復活させて下さい。自作のモドキじゃイマイチなんです…。
※本来の目的であったチヌは未だ釣れておりません。あ、メッキとカマスは釣ったんですよ?引退していた海フライに今年、現役復帰の予定です…。ルアーですらトップでチヌ、釣ったことないんですけどね。