2016年03月06日
初めての海フライdeシーバス

当時、ワタシが居住していた神戸のポートアイランドは当初の面積を拡張して埋め立てをし、それまでの倍の面積になっていました。
拡張した南エリア(通称:二期工事エリア)は道路だけが敷設されてほぼ空地の状態。
1994年に開港した、関西国際空港へのシャトルバスの船着場、確か名前は、神戸シティエアターミナル、略称K-CATのみがポートアイランド南エリアに開業していました。今は神戸空港近くに移転してます。
ターミナルと船の桟橋からは煌々と灯りが照らされて、ソルトルアーマンにとって絶好のポイントが形成されていました。
周囲は空地ばかり、拡張された南エリアに立ち入りが可能かどうかは地元以外の人間には判断がつかないような状況でしたから、竿抜けポイント、穴場でした。
ワタシは当然、そこに早々と目を付けて釣行しましたが、そこは素晴らしいシーバスポイントでした。
水面が強烈に照らされていましたので、時によってはシーバスの姿が丸見え。どんなルアーを投げても釣れる、という日もありました。
言わば、ワタシ専用のシークレットポイントでした。様々なタイプのルアーの実戦投入をそこで行ったのが良い思い出です。そこで他のルアーマンを見かけることもありませんでした。
ソルトウォーターフライフィッシングのタックル、以下、面倒なので海フライのタックルを買い揃えてしばらくしたある日。
例の爆釣シークレットポイントでフライでシーバスを釣ったらええねん、と考えたワタシ。
数少ないながらもそのポイントにいる、エサ釣りのおっちゃん達の迷惑にならないように、夜中の2時にクルマでそこに向かいました。
到着すると、パトカーが5台程。警官がチラホラ。
どしたん、事故?事件?
邪魔にならないよう、パトカーから少し離れた場所の路側帯にワタシは駐車しました。
車内でタバコを1本。
さあ、海フライで初シーバスだ!
と、思いきや窓をコンコン。
警官が覗き込んでいました。
あ、検問?
飲酒チェック?
別に犯罪を犯したわけでもなく、お酒は全くダメなワタシ。
やましい事は何もありません。
半ば意気揚々と窓を開けました。
クルマで検問を受けるのは初めてでしたから、むしろ興味津々。
「夜分遅くにお疲れ様です〜♪どうされました?」
「失礼。免許証を拝見します」
随分と無愛想です。
ていうか威丈高な態度。
眠たいの?
2時過ぎだもんね。
大変だね〜。
「あ、はい。どうぞ〜」
「はい、結構です。ちょっと車から降りて後ろのトランク開けてください」
検問てトランクまで開けるんだ〜。
ひょっとして覚醒剤の取り締まりかな。
関空近いもんね。
ドキドキ♪
ピリピリしてるなあ、何かあったん?
密輸とかかな?
ワクワク♪
下車してトランクを開けました。
大枚はたいて購入したsageのフライロッドのアルミチューブが1本。
同じく大枚はたいて購入したハーディーのフライリール。
苦心して巻いた海フライ収納ケース。
海フライタックル一式です。
中を見た警官の表情が一変。
やおら無線機を手に取り口に当てました。
「こちら、○○。現在、不審車両を職質中。不審物を発見。至急、応援願います」
え。ちょ。
不審車両てナニ。
不審物てナニ。
ワタシ?
ワラワラと警官が3人ほど来ました。
カンのいいワタシは直ぐに気付きました。
アルミチューブを過激派の迫撃砲か何かと勘違いしてるのだ、と。
ワタシをテロリストか何かと勘違いしてるのだ、と。
「あ、あの。コレ、竿のケースです。不審物じゃありません」
「なんで竿のケースがこんな形してるねん。ケースちゃうやろ。コレ何やねん」
いきなり尋問口調。
気分を著しく害したワタシ。
「随分と失敬な態度に豹変するじゃね〜か、ヲイ。何様のつもりだ、コラ。公僕の分際で納税者様にどういう態度取ってんだオメーは、あ?(タバコ税と消費税しか納めてないけど)」
と、言いたいのをグッと押さえ、冷静沈着、眉目秀麗、頭脳明晰なワタシは答えました。
「ホントに竿のケースですよ〜。これ8万位する竿でね(ウソです。海外通販で購入したのでホントはその半分位)。高級ロッドだとこんな豪勢なケースに竿が入ってるんですよ。ホラホラ」
アルミチューブケースの蓋をカラカラと開けて中のフライロッドを警官の皆様にご覧に入れました。
険しい警官の表情が一瞬緩んだと思いきや更に険しくなりました。
「兄チャン、明日、大阪で何があるか位知っとるやろ。ややこしいことするなや!ホンマ勘弁してくれ!こっちはピリピリしとるねん!」
あ。
そうだった。
あ〜、ハイハイ。
あれね。
そうだったわ。
カンのいいワタシは瞬時に察しました。
記録によると1995年の11月16日。
APEC大阪会議開催。
その日は開催前夜。
関西地方、特に警察関係者の方々は開催前から厳戒態勢を布いていたのです。
事情を察したワタシは言いました。
「ああ、APEC会議ですか。クリントンさん、明日に大阪入りでしたっけ。でもボク、釣りに来ただけなんです。怪しいモノじゃありません。ここ、スゴく良く釣れるんですよ〜」
警官は更にヒートアップ。
「なんでこんな時間にわざわざこんなトコで釣りするねん!おかしいやろ!」
「フライフィッシングって言うんですけど〜。このね、フライラインをね、20m位の長さを前後にビュンビュン振り回すからね、周りの人に危ないですやん?だから人のいないこの時間に来たんですよ〜。そんなに簡単に釣れる釣りじゃないからね〜、ここやったら絶対に釣れるわて思ってね〜」
フライラインをリールから引き出して見せながら、懇切丁寧に説明しました。
「もうそんなんどうでもええから帰って〜や」
「え、立入禁止ですか?釣り禁止ですか?」
「禁止ちゃうけどこんなトコで釣りされたら巡回せなアカンやないか。何時までやるつもりなん?」
「え、気が済むまでやりますけど」
「程々にしてはよ帰ってや!」
そう吐き捨てて警官達は散開してそれぞれの持ち場に戻って行きました。
勿論、程々にしてはよ帰るつもりなど更々ないワタシ。ほぼ確実に、フライでシーバスを釣ることが出来るであろう、貴重なポイント。日を改める、などという考えは微塵も湧きません。有り得ません。不可能。見果てぬ夢。The Impossible Dream.
目論見通り、シーバスをキャッチ。素晴らしい、フライde初シーバス、でした。初めての海フライでいきなり10匹以上もシーバスをキャッチしたのですから。
朝8時位まで延々と、充分に満足するまで海フライdeシーバスを堪能して納竿、帰宅しました。
え?ワザと朝まで釣りを続けたんじゃないかって?
ええ、勿論、無礼千万な警官達への嫌がらせ、意趣返しのつもりで居座ったんですよ。
この記事へのコメント
フライは、細〜いラインと軽〜い毛針でやるものだと思ってました。
シーバスが釣れるとは驚きでした。
それにしても、警官に囲まれ嫌な思いをしながら朝まで釣り続け、10匹以上も釣られたとはさすがですね(^_-)
シーバスが釣れるとは驚きでした。
それにしても、警官に囲まれ嫌な思いをしながら朝まで釣り続け、10匹以上も釣られたとはさすがですね(^_-)
Posted by だいざえもん
at 2016年03月06日 10:05

だいざえもんさん
おはようございます。
ん〜、嫌な思いと言えば嫌な思いをしたのは確かなんですが…。
ちょっと、いや大分、ワタシ、面白がるというか、小馬鹿にしてました。
警察が、立入禁止にするなら事前告知が必要ですし、そもそもワタシににやましい点は一切ない上に、我々は納税者様ですからね〜。強気でした。
今から振り返れば、イヤなガキだったなあ、なんてちょっと思ったりw
おはようございます。
ん〜、嫌な思いと言えば嫌な思いをしたのは確かなんですが…。
ちょっと、いや大分、ワタシ、面白がるというか、小馬鹿にしてました。
警察が、立入禁止にするなら事前告知が必要ですし、そもそもワタシににやましい点は一切ない上に、我々は納税者様ですからね〜。強気でした。
今から振り返れば、イヤなガキだったなあ、なんてちょっと思ったりw
Posted by 疑似餌釣師
at 2016年03月06日 10:43
