2016年02月04日
初めてのシーバス 第1章

購入したルアータックルは以下の通りでした。
【ロッド】
シマノのシーバス用9フィート
【リール】
シマノ バイオマスター3000番
【ライン】
バリバス ナイロンライン 12ポンド 150m
【ルアー】
ラパラ カウントダウン CD9
K-TEN ブルーオーシャン 90mm
マリアオフィス ザ・ファースト 9cm
ダイワ ファントム(メタルジグ)
今でも十分、通用しそうです。我ながら素晴らしい選択w
さて、タックルを揃えた7月21日のその日の夕方、早速の釣行に出撃しました。1年以上も吟味に吟味を重ねたタックルです。釣る気満々でした。ポイントも「シーバステクニカルノート」に掲載されていた場所そのものズバリ。釣れない筈がありません。21歳の誕生日を目前に約10年越しの、最早執念とすら言える思いを叶える人生初の釣り。どうして人生初の釣りだというのに、そこまで「釣れる」と確信していたのでしょう。しかも単独釣行で独学です。今にして思えば無謀なことこの上ないのですが、当時は大真面目でした。若かったのですな。
事前のイメージトレーニングが完璧だったのでしょう。もしかすると素質があったのでしょう。キャストには全く苦労しませんでした。一投目からルアーは放物線を描いて飛んで行きます。30分も経過した時にはライナーキャストもマスターしていました。己れの才能に身震いする思いです。
しかし…。釣れません。
ようやく我に返りました。
「ま、正真正銘の人生初めての釣りでいきなり、しかもルアーでシーバス釣れたら誰も苦労せんわな」
初日は惨敗です。アタリも何もありませんでした。
「ま、一週間も通えば釣れるさ」
その後の苦悩の日々も知らず、なんと能天気なヤツでしょう。タイムマシンであの日のワタシの頭をどついてやりたいのはワタシだけではないでしょう。
ルアーでのシーバスを舐めてるとしか思えません。
次の日から毎日、ポイントに通いました。
しかし釣れません。まともなアタリは一度たりともありません。
岸壁沿いの貝や海藻に引っかかったのをようやく来たアタリと誤認して幾たびもアワセを入れてしまいました。本に書いていた通り、ロッドは下向きに、シャープに、コンパクトにw
通いはじめて10日目、7月30日でした。
いつものポイントです。
今はもう、立入禁止なので場所を明かしてしまいますが、神戸港第4突堤の西側。
ここで人生初の魚を釣りました。ガツンと突然引ったくられてグングン引かれた、と思ったら急にふっと軽くなりました。明らかに生命あるモノの引きです。あせったワタシはリールをゴリゴリ巻きます。まだ何か重い。明らかにルアーだけの重みではありません。眼下に寄ってきたモノの正体、それは…タチウオでした。
人生初の釣果、嬉しいのは嬉しいのですが、すわ、シーバスか!と胸の鼓動が激しかっただけにちょっと複雑なキモチ。
その一匹限りでその日は帰宅。
翌日からまたボウズの日々が続きました。
8月5日のこと。
早朝からワタシはポートアイランドの北公園でルアーをキャストしていました。
8時頃でした。
突然、湾内が沸き立ったかのように水面がざわめきました。正にボイル。何か大きめの魚が背鰭を時折見せながらイワシを追いかけています。
「ナブラや!ハマチや!」
釣場にいたおっちゃん達が興奮して叫んでいました。
すぐに湾内が一面ボイルで埋め尽くされます。どこに投げても釣れそうです。「青物には高速引き」どこかで読んだセオリーを思い出しつつ、ルアーをキャスト。チェイスがあります。近くにいた餌釣りのおっちゃんが次々とハマチを釣り上げます。後に続けとルアーをキャスト、懸命にファストリトリーブするものの、チェイスのみ。釣れません。ナブラは15分程で収まってしまいました。アタリもカスリもしなかったワタシを他所に、そこかしこにいた餌釣りのおっちゃん達はほくほく顔です。
「兄ちゃん、ルアーか。ルアーでは釣れへんで。ワシも昔、何度も試したけど釣ったことないし、釣れるとこ見たことないで」と、おっちゃんが言います。
確かにルアーを始めてから2週間、釣場でルアーを投げてる人を見たことがありません。
「そうですね。もう諦めて帰りますわ。家、近いんでまた明日、チャレンジします。」
「ちょい待ち。家近いんやったらこれ持って帰り。家帰ったらすぐにさばきや」とビニール袋にハマチを2本入れてくれました。おっちゃんのご好意に謝意を述べつつ、複雑なキモチ(このおっちゃんには後日、全く別の場所で再会し、目の前でシーバスを釣り上げて差し上げることが出来ました。ついでにルアーによるシーバスフィッシングの泥沼にズブズブに沈めてあげました)。
胸中に沸き起こるごく僅かな疑念。
「ルアーって釣れへんの…?」